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10/29 『二重生活』 『あゝ、荒野』公開記念!岸善幸監督作品を見直して見た。

 この映画出来た時、門脇麦ちゃんと監督の岸善幸さんが確かうちの大学に試写会みたいな感じで来たんですよね確か。監督がうちの大学の出身者かなんかで。(でも授業の関係でちょうど見れなかった、、、悲しい、、、タダで映画観れたのに、、、)
 とか言ってこれまで見よう見ようと思って観てこなかったので、この機会に!ということでレッツTSUTAYA!準新作になっていました。


 こんな気になったののというのも、何を隠そう今年ミッキーマウス的ナンバーワン映画『あゝ、荒野』の影響です!!!
 寺山修司の唯一の長編小説を菅田将暉とヤン・イクチュンを主演に迎えて前後編で映画化。映画公開とほぼ同時に配信版を公開するなど、映画興行の常識を覆す戦略を展開しています。
 詳しくはこちらを↓



 これがめっちゃいい!!!もうとにかくめっちゃいい!!!


 これに関しては現在まとめ直している状況。先にこっちをレビューしちゃうという非戦略的な投稿をしていきます。


 簡単にあらすじと作品の概要を説明しておきます。


直木賞作家・小池真理子の小説を基にした本作。大学院の哲学科に通う平凡な学生・珠(門脇)には、同棲中の恋人・卓也(菅田)がいる。修士論文の準備を進めていたある日、担当教授の篠原(リリー)から一人の対象を追い掛けて生活や行動を記録する「哲学的尾行」を薦められた珠は、妻子と暮らす隣人の石坂(長谷川)を尾行することにハマっていく……。NHK特集ドラマ「ラジオ」が世界の優れたテレビ番組に贈られる国際エミー賞にノミネートされた映像作家・岸善幸が、満を持して映画初監督を務めた。(シネマトゥデイ)


 まあそんなこと言われたってうまくイメージできないですね笑どこかミステリアスな内容らしいです。はい。
 理由なき尾行がどのような結末を迎えるのか。。。早速みてみました!



ということで感想戦スタート!

 わからない。あゝ、わからない。
 レビューを見ても、「哲学的」「難しい」と言う声が多数。正直自分もちょっと難しいのか?哲学的なのか?みたいな感じでいます。。。まあ鷹の爪団の記事書いた後にこれだから余計難しく感じてしまうのかもしれません笑
 とは言えそこまで時系列とかエピソードが追えないと言う話ではないので。まずはあらすじを振り返りつつ、内容を考察して見ます。


 門脇麦さん演じる院生の女の子「タマちゃん」が、卒業論文(院生でもそう言う言い方なのか?)をどうしよう?と言って迷っています。どうやら哲学科らしく。そこでリリーフランキー演じるゼミの先生に助言を求めに行くと、「だったら意味のない尾行をして見なさい」みたいなアドバイスをされるわけですね。そこで偶然見かけたお隣さんを尾行して見ます。これを長谷川博己さんが演じていて超絶かっこいい!役柄としては、超絶できる編集者さん、と言うところ。家庭も円満で、美人の奥さんにできのいい娘さんとでっかいおうちに暮らしています。タマちゃんとこの大家さん曰く「セレブよ!セレブ!」(そんな叫ぶほどの単語だったのかこれは、、、)。
 ところがそんなできた男にも問題が。定番ですが、不倫していたんですね〜路地裏でやっちゃうと言う破廉恥さ!しかしその秘密も長くは続きません。浮気現場をあっさり発見した奥さんは自殺未遂。それをきっかけに尾行のことがバレてしまう。しかも、同棲中の彼氏にも尾行をしていたことがバレてしまい、まあ引かれちゃったんですね。タマちゃんは一気に窮地に陥ってしまいます。
 この彼氏を演じているのが菅田将暉くん!そう、『あゝ、荒野』で岸善信監督と再タッグを組んでいます!胸熱!!!今回は『あゝ、荒野』で見せたようなとんがった青年というところではなく、無口で優しくて髪の毛が長くてオン眉な柔らかい印象。
 さて、論文も恋も終わってしまったかのように思えたタマちゃんなのですが、そんな時喫茶店に呼び出され、長谷川さんから真相を追究されます。なのにいつのまにか居酒屋に場所を移動されており、いつのまにかタマちゃんはヘロヘロに。そしてそのままホテルへ。さて本番!というところで携帯から「パパ、メールだよ(^^)!」みたいな通知音が。子供の声を通知オンにしてたんですね〜。これでもう完全に萎えちゃって。そりゃあうちに子供残して、奥さんは病院で治療中。俺何してんだろって思います。
 帰るというところになってのシーンが印象的ですね。タマちゃんがとうとうと過去を振り返る。初めての相手だった、お父さんの親友が死んで、「あゝなんで私人と出会うんだろう」ってなって。「そっから人と関わる時にはいつもそんなんだから私いっつもどっか空っぽで」。「彼氏ともそんな感じなんですけどでもそういうことは言えてなくて」。「尾行して見て、その空っぽのところが埋まってくような気がして」。「だから論文書かせてください」。
 そこに行き着くのか!という感想でした。論文がこの子は書きたかったんだと。でもそれに対する長谷川さんの返答がもう虚しくて。「陳腐だ。、、、満たされてる人間なんていないんだよ」。
 「空っぽな」毎日を「埋めようとする」ってなんかありがちな言い回しだな〜ってそれこそ「陳腐だ」って思ってしまいました。別にディスってるとかではなくて、選んでそうしてるのかな、とも思いましたが。で、大抵のドラマとか(特に最近深夜でやってるやつとか)だとこういう時どうするかっていうと、そうですよね、浮気ですよね。これまさに長谷川さんがやっていたことでした。だからこそ、この「満たされてる人間なんていないんだよ」というセリフが効いてくるわけで。どんなに優秀な編集者だとしても、どんなにいい家庭が築けていても、どこか満たされていないからそれ以上を求めてしまう。空っぽを埋めて欲しいと思ってしまう。
 結局論文を書くことを許してもらえたタマちゃんは泣きながら論文を書いていきます。この時のタマちゃんもとい門脇麦が印象的でした。泣いてるのか最初わからなくて、でも涙をこらえきれていない。空虚そのもののような門脇麦でした。
 それを教授のところに持っていくと、「続けてください。対象者を変えても続けてください」と言われてしまう。そこで選んだ対象者というのがその教授自身でした。教授は癌に侵されたお母さんを奥さんと看取り、その奥さんとまた普段の生活に戻る、というところでした。スーパーで西田尚美と微笑みながらお酒を選んでいるリリーフランキー。なんていい絵なんでしょう笑。大根作品ではきっと見られないようなリリーさんがここにありました笑。ところがその夜二人はお別れをします。「またどこかでお会いできますか」と引き止めるようにいうリリーさんに、ただ微笑み変えす西田尚美。なんかなんだろう。切ない。中年のおじさんの悲しそうな顔って、どっかに哀愁を持っていて。
 しかしこれでは終わらない。対象者Bである教授のことも論文にして、提出すると、「対象者Bに関して間違ってる記述があるから書き直しなさい。」みたいなこと言って教授が名刺と劇団のチケットを渡します。その演劇を観にいくと、そこには演者として登場する西田尚美が。彼女は代行サービス業者として奥さん役をしていた、ということがリリーさんの回想なのかなんなのかでわかります。でも代行サービスなのに、西田尚美は毎日「役作り」としてお弁当作ってくんです。そしてそれを食べながらリリーさんが毎回ほほえむ。そしてそれを写メって、保存していたんですね。ああやっぱり切ない!リリーさんは西田尚美がどう考えても好きでした。どうしたって業者の人として観ているとは思えない。そしてそれは西田尚美の方もそうなのではないか、いやそうであってくれ!とつい思わずに入られません。こちらも『LIFE!』ではきっと観られない西田尚美でしょう!(僕は西田尚美さんについては『LIFE!』の人、としてしか知らなかったのでギャップがすごかったです、、、)
 この間に劇中劇が入るんですけど、
 さてさて、ここからもうラストなんですが、色々と起こります。
 最初に起こるのが教授の自殺シーン。これが衝撃で。最初にシーンもこのシーンだったので、「あゝ!そういう意味だったのか!」と。それにしてもコードを掴む手元と首にくくるほとんど影のカット、そして真っ暗の中でタマちゃんが二回ノックをするというだけでこれほどまでの緊張感を生み出すとは、、、。この死の真相は結局わからないんですけどね。
 そこからタマちゃんの引越し。タンスを動かすと、絵が上手だった彼氏が書いた自分の横顔の絵を見つけます。なんか『そして父になる』みたいな感じですね。
 それから円満な?少なくとも傍目にはそう見える長谷川さん一家を見かけるタマちゃん。
 ここで論文の最後の部分がナレーションされる。「本当に満たされている人間なんていない。」「苦痛をほんの少し軽くしてくれるのが『秘密』ではないだろうか」「理由のない尾行とは、、、その人の人生、情熱、意思を知ること」「それはきっと、人間が人間にとってかけがえのない存在になる、おそらく唯一の方法ではないだろうか」。
 「人間が人間にとってかけがえのない存在になる」というのは、別に特定の個人のことではないのかな?「人間」という存在を愛せる方法、かけがえなく思える方法、それが、「他人の人生を知ること」つまり「理由のない尾行」。そういうことだったのでしょうか。
 ここでタイトルに戻ってみます。『二重生活』。この「二重」というのはなんだったのかと。自分の人生と他人の人生を重ね合わせてみることで、人生を二重に感じる、ということだったのでしょうか。そしてその「二重の人生」こそが、人間をかけがえのない存在にする。
 そしてそれは、満たされた人間なんていない、ということの強烈な認識ですよね。空っぽなのは私だけじゃあない、と。


 人間関係に苦悩していたのはタマちゃんだけなんでしょうか。幸せな家庭を築いていたのに浮気していた長谷川さん。母親の死、大事に思ってしまった奥さんの代行者の喪失、そして自分の死をも手繰り寄せてしまう教授。それだけではありません。タマちゃんの彼氏だって、長谷川さんの奥さんだって浮気相手だって、考えてみれば大家さんだって西田尚美だって、苦悩を抱えているという点ではこの物語に出てくる人々はみんな苦悩を抱えているといえる気がします。
 だけどそのことを知ることはなかなかできない。そこで「理由なき尾行」だと。ちょっと無理やりでしょうか。


 最後のシーン。タマちゃんは渋谷のスクランブル交差点で(こういうシーンていつも思うけどどうやって撮影してるんだろう?ちょっとしたパニックとかになりそうなもんだけど、、、)ふと振り返ります。誰かに尾行されてるって思ったんでしょうか?でもタマちゃんはニコって笑うんです。笑って、また歩き出す。
 自分の人生に自分を重ね合わせている誰かを、歓迎しているような気がします。でもこれ多分教授ですよね、、、?だって指輪してるし。
 そして最後。
 「あなたにとって私はなんだったのか 私をどうしたかったのか あなたは私をどう思っていたのか 私は永遠にそれを知らない」
 うううううううんなんじゃあこりゃあ!!!わかったようなわからないような!それにしても最後のカットで主人公にこっち向かせがちな監督やなああ!!!


 まあこれだけいろいろ書いたんですけど、書きながらやっぱり細かい所の演出が光る監督だなあと思いました。レビューには「演出が雑」とかって書かれちゃったりしてるけど、それだけじゃあないと思います。『あゝ、荒野』の時も思ったけど、「なんとなく空虚」とか「どこか物足りない」感じとか「殺伐とした」感触とか「乾いた感じ」とかが上手な監督さんだと思います。
 いろいろ考えさせるところはあるし、伏線めいたところがたくさんあるような気がして一度で全部を咀嚼しようとするのは大変かもしれないけど、それでもやはり見応えのある映画だったと思います!


レビュー:5
★★★★★☆☆☆☆☆