『恋は雨上がりのように』 疲れた時は、この映画見て雨宿りしよう。

  今回見てきたのは、  



『恋は雨上がりのように』



です!!!!










<作品紹介>

あらすじ

高校2年生の【橘あきら】(17)は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の【近藤正己】(45)だった。 それをきっかけに【あきら】は、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の【近藤】に密かな恋心を抱いて……

【あきら】の一見クールな佇まいと17歳という若さに、好意をもたれているとは思いもしない【近藤】。しかし【近藤】への想いを抑えきれなくなった【あきら】はついに【近藤】に告白する。【近藤】は、そんな真っ直ぐな想いを、そのまま受け止めることもできず―

真っ直ぐすぎる17歳、さえない45歳。ふたりに訪れる、人生の雨宿りの物語。


(公式ホームページ)


スタッフ

原作 - 眉月じゅん『恋は雨上がりのように』(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載)

監督 - 永井聡

脚本 - 坂口理子

音楽 - 伊藤ゴロー

参加アーティスト - の子 / mono(神聖かまってちゃん)、柴田隆浩(忘れらんねえよ)、澤部渡(スカート)

主題歌 - 鈴木瑛美子×亀田誠治「フロントメモリー」(ワーナーミュージック・ジャパン)


キャスト

橘あきら - 小松菜奈

近藤正己 - 大泉洋

喜屋武はるか - 清野菜名

加瀬亮介 - 磯村勇斗

吉澤タカシ - 葉山奨之

西田ユイ - 松本穂香

倉田みずき - 山本舞香

久保 - 濱田マリ

九条ちひろ - 戸次重幸

橘ともよ - 吉田羊


予告


「恋は雨上がりのように」予告

公式ホームページ



原作

恋は雨上がりのように 10 特製クリアカバー付き特装版 (特品)
恋は雨上がりのように 10 特製クリアカバー付き特装版 (特品)
小学館
2018-04-27



それでは、感想いってみよう!!!!













<感想>永井聡節が炸裂した、夢に挫折した全世代に向けた、恋愛映画であり人生応援映画の決定版!!!



映像と音楽がキレッキレ!永井聡節炸裂!

『ジャッジ!』で長編映画デビューを飾り、それから『世界から猫が消えたなら』、『帝一の國』とヒットを量産している永井聡監督。僕も大大大好きな監督です!(とはいえ、『せか猫』は原作から地雷臭がして見ていない。。。。)


『ジャッジ!』では自身の出身でもあるCM業界を舞台にテンポの良い展開で観客を楽しませ、『帝一の國』でもテンポの良さは引き継ぎつつ、豪華若手キャストを率い笑いと感動を両立した監督。『帝一の國』は僕にとってもすごく印象深い作品になっていて、とっても好きです!これは女性客が9割だったとどこかで聞きましたが、男性が見ても十分面白く胸に迫る映画だと思っています。だって全員主役級ですよ?しかも僕の大好きな菅田将暉が主演ときたら!こちらもぜひご覧ください!


で、そんな前作2作品を見た僕の監督の特徴としては、ストーリー展開の超絶テンポ、そして、シーンごとの映像と音楽のキレだと思っています。本当に吉田大八監督もそうだし、決定的なシーンのインパクトが莫大です。今回ももちろん、そんな監督の持ち味が存分に発揮されていた一本だと思います。


見ていて「これ永井聡節きた!」と思ったのが、小松菜奈演じる橘アキラが、夢の中で街中を爆走するシーン。元陸上選手というだけあって、凛とした佇まいで姿勢良く街を走り抜けます。その疾走感、また雨上がりの街中の光がそこら中に反射する景観の美しさが最高。そしてそこに流れるこれまた疾走感溢れる挿入歌。この音楽と映像のマッチ感(こんな言葉あるか?笑)、そして映像の綺麗さと美しさが何より監督の持ち味、と勝手に思っております。


また、主な舞台となるファミレスの中をワンカットで撮りきるシーン。これも最初の方ですね。ファミレスの忙しさを感じさせつつも、何人ものキャラクターをワンカットで性格まで見せ切っています。特に橘の人を一見睨んでいるかのような仏頂面と、実はピュアな一面を一気に紹介してしまう。ここで観客はこの物語の主要部分をひとしきり把握してしまうのですね。この映像的な説明のうまさや、シーンごとのまとまりの良さも監督の上手なところです。


それから、あえて主要人物を画面の中心から外したアングルで撮って見たり、かなり引き気味のところから撮ってみることで、日常の片隅にキャラクターが存在しているような感覚にさせる。あるいは、ドローンを使って、かなり遠目から一気に橘のところまで視点を大胆に移動させて見たり。あとは、極端に照明を強くして背景をぼやかして見たり。見ていてビジュアル的に飽きることをさせないところも、監督の映像のこだわりを感じます。


音楽も全体通していいですよね〜。その時々のムードにあったBGMを流すのはもちろん、アップテンポな曲を合間合間に入れて行って、やはり耳でも飽きさせない。


さらにさらに、ストーリー展開や台詞回しにも節が炸裂していて、5分に一度は笑わせたかと思ったら、そのすぐ後にはグッと泣かせる展開を持ってきたりして。それも「お涙頂戴〜〜〜お願いいい〜〜〜〜泣」ていう流れでは全くなくて(劇中で橘がデートで見てた映画の監督とは大違い)、あるひとセリフだったり、なんでもない回想シーンだったり、ふとした時の表情のアップ、さりげないBGMだったりで、ふっと胸にくる。この笑いと涙の心地よい塩梅も監督ならでは。『帝一の國』でも爆笑したすぐ後のシーンで泣かされたりして、本当に気持ちの整理に困らされる監督です。ちなみに『帝一の國』を女の子と見ていて、急に僕が泣き出してしまったのでビビられたことがあります笑。


あとは主題歌ね。『ジャッジ!』のサカナクション「アイデンティティ」、『帝一の國』のクリープハイプ「イト」ときて、今回の主題歌を聞いたら「ああ、監督はこういう曲が好きなのね」てわかっちゃうくらい主題歌の曲調が似てる笑。とにかくアップテンポで、耳から離れない中毒性のあるメロディ。これカラオケで歌おうと思ったらめっちゃ頑張らないと息が切れちゃうような曲ばっかです笑。今回もエンドレスで聴き続けちゃうようなそんな主題歌になっていますし、何と言っても今回の曲は原作者が『雨恋』のテーマソングとまでいうほどの曲でもあるので、映画とのマッチ度も最高です!


ちなみに、今回の主題歌は、もともと神聖かまってちゃんの曲なんですね。初めて知りました。それを鈴木瑛美子さんという「湖池屋」のCM(※)でパワフルな歌声で注目された歌手のカバー、それを数々のアーティストのプロデュースを務めてきた亀田誠治さんが手がけているという。元曲から印象がガラリと変わって爽やかでいて力強い印象の一曲になっていて、僕もうすでにはまっています。




“歌がうますぎる女子高生”鈴木瑛美子、芋へのこだわりを熱唱!「KOIKEYA PRIDE POTATO」新CM KOIKEYA PRIDE POTATO 「100% SONG」編


劇中のシーンをつなぎあわせたPVもとってもよくできている!ていうかこのPV見ただけでなんとなくこれまで書いてきた監督の特徴とかわかるんでないでしょうか?ぜひご覧くださいね!

恋は雨上がりのように×フロントメモリー (フル)



てな感じで、本当にいい監督なんですよ!!!もう本当にわかって!笑


上映時間があっという間に感じられるほど全く飽きさせないし、めっちゃ笑ってふっと泣けて、帰る頃には「ああなんか、明日も頑張ろっかな」って思えるていう、超お得な映画を作ってくれる監督なんですよ!!!




演者さん総ざらい!各キャラそれぞれの魅力が大爆発!

よかったのは監督だけではございません。というか、ここからが本題なのでありまして、とにかく各演者さんの演技が超いい!それで持って各キャラの性格や役割も萌えポイント満載だったりしてそれを綺麗にまとめた脚本もすごい!


てな訳で、思いつく限りに書き連ねていきたいと思います!


・小松菜奈/橘アキラ

もうさいっこう!!!てかこんなに可愛い女優さんだったんですね!大好きな『バクマン。』でも遺憾なくその可愛さ美しさ、素材系の美人を前面に発揮していたあなたですが、今回もそれに匹敵、いやもしかしたら大根仁も超える勢いの魅力を見せつけていましたよ!


店長に恋するその瞳がすんごいでかくてびっくりしました。そんで持って普段のクールな一面もまた魅力。今作での大きなアピールポイントとなっているのが、その普段のクールな表情とそのすぐ後に見せる可愛らしい女の子の顔のギャップ。そのギャップに劇場の男の何人が堕とされたことでしょう。特に、店長や親友の前でみせる最高の笑顔が最高でした。最初の方に彼女のドアップがあるんですが、「あ、この画ならいつまででも見れるな」と思っていました。


一方、天才的な陸上の才能がありながら怪我によって選手として挫折した苦しみ、陸上を忘れようとするさみしい表情もまた観客をなかせていました。というか泣かされました、僕が。いくつもの表情を見せながら、それでいて所々に橘アキラの素の部分や、本音、隠された悲しみを見せるという抜群の演技でこの映画を引っ張っていましたね。感動しました。


・大泉洋/店長(近藤正己)

不甲斐ないおっさんを演らせたら大泉さんの右に出るものはないのではないかと思わされるほどの演技でした。本当に不甲斐ない。バイトの女子高生には「臭い」と言われ、バイトのおばちゃんには「パッとしない」と言われ、店で遭遇した女子高生には「痴漢ですか?」と言われ、橘の親友には「あんなおっさんやめときなよ!」と言われ、本当に悲しくなってしまうほど不甲斐ない。その上バツイチ子持ちなんて…。


ただ、不甲斐ないからこそ滲み出る優しさってのがちゃんとあって。その優しさから放たれる橘へ向けた眼差しが、愛情とか恋とかというのとは全く違う方向での暖かさを持っている。その眼差しに、僕は橘を応援しようという思いにさせられました。


一方、自身も小説家になるという夢を諦められないでいるという、本人曰く「何やっても中途半端」な状況。おまけに学生時代の友人は作家としてデビューしてしまったという惨めさ。そんな店長が若者達を見つめる視線には、いやらしいものではなく、「俺にもああいう時代があったなあ」「いいなあ若いってのは」「俺も君たちみたいに夢とか恋とかひたむきにやって見たいな」ていう、諦観とも憧れとも羨望ともつかない淡い気持ちが混ざっていました。


でも「何やっても中途半端」じゃない人間なんてこの世界にいるんでしょうか。きっといるとしたらそれはスティーブ・ジョブズとか孫正義とかそういうアレなんでしょう。映画を見た99.999%の「何やっても中途半端」な人間が、その一員である店長のこと、応援してると思いますよ。そして「未練」ではなく「執着」を続けることによってしか夢との折り合いをつけられないと、また書き出す店長を見て、観客達もまた「俺も『執着』やってみるか」と思ったことでしょう。ていうか思いましたよ、僕は。


不甲斐なくてもやってみるか、それしかないもんな、夢捨てきれないもんな。そうやって雨宿りから外へ出て行く姿に、僕は橘よりもむしろ店長の方に共感しましたよ。


・松本穂花/西田ユイ

意識高すぎ高杉くんをいつも見ているあなたとは見違えるほど、おばかちゃんで軽くって、その分橘にはない、いわゆる女子高生像を体現していた松本穂花さん。茶髪も似合うんですね。眼鏡っ娘で田舎弁でなくても十分役に似合ってました。


この子の役割としては、やっぱり橘とのコントラストでしょうか。クールで感情を言葉に出さない橘と対照的に、思ったことは脳より先に口から出力してしまって、結果店長を臭いと言っていたのが聞かれてしまう西田さん。コメディリリーフでありながら、可愛らしく単体でも十分可愛らしい。


そんな西田さんが片思いするは、チャラ男のたかし。彼との恋愛は成就するのでしょうか?してもしなくてもそれが青春だな〜と思うのでした。


あと、最終盤に彼女が変身する様もなかなかよかったですね。頼りなかった西田が、橘の代わりに?ファミレスを引っ張ろうとする姿。ここにもギャップ萌えがあり、それだけに「アキラちゃん帰ってきて」という疲労感たっぷりな一言が効きましたね笑。


・葉山奨之/吉澤たかし

チャラ男ことたかし。今放送中のテラハではもっとちゃんとコメントしてますよ。でも金髪茶髪似合いますよ。おバカな葉山くんもありです。そして全く秘めるつもりもない橘への恋心。彼はツンデレ?が好きなのです。冷たいクールな女の子が好きなのです。可愛いやつです。


授業中は全然授業聞かないでパラパラマンガ描いてるし。走ってる橘が好きなんですね。彼も橘の陸上復帰を心待ちにしていたのでしょうかね。いいキャラしてんな本当に。


あとサンドイッチ焦げまくっててキッチンにいるのが心配になりますが、これは加瀬先輩とのコントラストがよく効いていて萌えますね。


出番こそそこまでないものの、彼のお茶目な感じが西田と相まったりしてとても良いコメディリリーフコンビだったと思います。



・磯村勇斗/加瀬亮介

完全に加瀬亮意識したネーミングでしょ!笑


でもこのキャラのどこに加瀬亮の素朴さを認められましょう?笑どこまでもチャラ男でありどこまでも主人公を翻弄するキャラとして出てきますね。オシャレさんでかっこいいです。『リーガルハイ』のダメダメ弁護士役とか想像できないっす。


本当にチャラ男が似合いますよね。ファミレスのキッチンの人ってみんなこんなん?笑でもこのひと、橘ことどう思ってんのかとか最後までよくわかりませんでしたね。好きとかじゃないんでしょうねきっと。そこに女の子がいるからデートに誘うみたいな。そこに山があるから、みたいな。そしてこの人の役割はといえば、「世間一般の目」の体現でしょうね。世間一般では、君たちみたいな超年の差恋愛はキモがられるよ、と、いらんことをチクってくるなんとも嫌な役回りでしたね。でもその実、橘の成長をまっていたり、店長との中を気にしたりしていて。いやつなんだか悪いやつなんだか、っていう役所。しかし『寄生獣』をあんなにかっこよく見てた人多分いないっすよ笑。


・清野菜名/喜屋武はるか

苗字が読めん!沖縄の出身かな?


主人公の親友役をやっていた清野菜名さん。ごめんなさい!もう高校生に見えない!ショートカットがなんか厳しめのコーチとかに見えちゃうよ!でもまだ23とかなんですってね。


しかし、いい役者さんだってすげえわかりました。なんかね、必死。ずっと必死。視線が必死。切ない。


もともと自分には手が届かないような陸上のライバルでありながら、心は親友という。だからこそ橘には陸上に戻ってきてほしいんだけど、怪我の手前何も言い出すことはできない。だから見守る事しかできない。その点では店長とも似てる感じがします。自分のやりたいことにひたむきになる姿をじっと待つ親友。ただ店長と違うのは、彼女もまた若さを持ったサイドにいるということ。じっと待つだけじゃなくて、早く戻ってきてほしいと思ってしまうし、バイトや恋なんかに打ち込んでいる彼女をほっとけない。でもそれをうまく言葉にできなくて、彼女の開けた穴を埋めようと部活では必死に部員を引っ張っている。橘への気持ちは届いてほしいけどちゃんと伝えることもできなくて、ただ切ない。その最高潮が夏祭りのシーンですね。浴衣きてやっと久しぶりに橘とゆっくり親友に戻れたと思った束の間、彼女との生活や内面でのギャップを感じてしまう。早く戻ってきてよ、まってるんだよ?という気持ちが、届かないんじゃないかと泣き出してしまう。その必死さよ。


あと、「あたしたち、陸上以外でも親友だよね?」みたいなメッセージも泣きましたね。そうだ、あたしたちの関係は陸上だけじゃない、ていうすごく原点に戻った清々しさを感じてなんだかこっちまで嬉しくなってしまいました。


彼女を見守っている人は店長だけじゃなくてたくさんいるんだよ、っていうのを感じさせてくれるいい役でした。お姉ちゃんとかの役だったらまた違ったかもしれないけどまあいいや。これもこれであり!



・吉田羊/母(橘ともよ)

結婚歴なし、子供なし、ジャニーズをお泊まりさせちゃうような私生活を全く感じません!シングルマザーを見事演じていました。


どうしたらあの「母」の感じが出せるんだろう。ああいうお母さんいるよね。てかいるね。うちの母だね。あのアキラが帰ってきた時の一言の感じとか、超うまい!!!母特有の、感情を前面には出さないし、娘当人には全くわかってないんだろうけど、客観的に見てるこっちにはその感情わかってるよ、的な演技が超絶!パソコンにひたすら向き合ってるだけで、特にそれ以上の演技もなかった、あっても料理してるとかの何気ない日常パートの出演にも関わらず、その存在感たるや!そして、「お母さん、スパイク捨てちゃった、よね?」→「捨てるわけないでしょう?」のくだり!


お母さんちゃんと見てるからね。ちゃんとあんたが戻ってくるの待ってたからね。あんたがいつか自分のしたいことまたやり始めるってちゃんと知ってたからね。。。


という数々の言葉を「捨てるわけないでしょう?」というただ一言に込めるという。そしてその後の、わかるかわからないか、でも絶対に笑ってるよ、っていうスマイル。


あああああああああ。こんなお母さんを持てて、アキラちゃんは幸せ者です。ここにも、彼女を待っていた人はいました。アキラちゃんはそれに気づくことができました。よかったねえ。本当によかったねえ。


・戸次重幸/九条ちひろ

店長の大学時代の親友にして、文学仲間。ただ、鳴かず飛ばずの店長と対照的に、作家としてデビューし売れっ子になっている九条ちひろ。そしてその役を演じるは、現実に大泉洋の大学時代の演劇仲間で、現在も役者として売れている「チームナックス」の戸次重幸というこれ以上ない配役の妙。店長と九条の関係に、現実の大泉と戸次の関係を重ね合わせるという。これに気づいた人いましたかね?いましたよね?絶対いたな。


ただ実際いうと、先に売れたのは大泉洋であり、それを追いかける形で脚光を浴びた戸次。本当の関係で言えば店長が戸次で九条が大泉なのです。だからこそきっと戸次さんは店長の気持ちをわかるし、大泉さんは九条の気持ちがわかるのではないか、と勝手に想像しています。


さあ、その戸次さんもいい役してました。夢を諦めた、という店長に対して、「でも描いてるんだろう?」と、大学時代の友人として話しかける。橘にははるかという親友がいたように、店長にも九条という友人がいました。大人になってその関係はあっけなく崩れたかのように思っていた店長も、「ここに俺を見守ってくれている人がいる」そんなふうに思ったのかな?と思います。その九条がいうセリフ、


「俺たちは大人じゃない。…同級生だろ?」


これ効きましたね。ちょっと臭いかな?と思わなくもないけど、まあ小説家だし。許せる許せる。立場とか、収入とかそんなの関係ない。俺とお前はいつでも変わらず同級生だ。だからお前も気にしないで頑張ればいいんだよ。俺が見守ってるから。一緒に頑張ろう、あの時みたいに。的な。そして、


「それは『未練』じゃない。『執着』だ」


ていうのもよかったですね。夢に敗れ、何もかも中途半端で終わってしまう自分。でも諦めきれないからまだ原稿用紙と向き合っている。そんな、なんだかなあな自分を全肯定してくれるしみる一言でした。よかった。みっともなく執着してやろう、って思ったっていいですよね。それがたとえ中年のおっさんだとしても。そしてそんな姿が、橘の気持ちにも影響を(間接的に)与えることになっていきます。このバトンのような勇気の伝播もよかった。人の勇気は人を変えます。


・濱田マリ/久保佳代子

大久保佳代子完全に意識してるだろ!


確かに、べちゃくちゃうるさいおばさんという意味で大久保さんでした。てか最高のおばちゃん。おっさん批評には手厳しいです。「臭いです」の即レス感とか、「パッとしないわね〜」のガッカリ感とか。『いぬやしき』でもこんな感じでしたね。松本穂花と葉山奨之コンビに続き、コメディリリーフを好演していました。


個人的にハマったのは、最後の方、ファミレスの控え室で店長の書いた小説を読んでるところ。「店長小説とか書いてるんだ〜」的な感心してる感じじゃなくて、ただ、「ふっ」という笑い。鼻で笑っちゃうあたりがおばちゃんだなあと思います。


ちゃんとした演技ができるベテランさんだからこそ、こういう微妙な間の取り方ができるんだなあと思います。


・山本舞香/倉田みずき

ミニスカで走るのなんかエロい!そして京都弁ちょっと変!


どうしても松岡茉優の京都弁と比べてしまうのですが、ううんちょっと変。でもなんかエロいし大丈夫!不良っぽい役とか似合いますよね絶対。


あと陸上部の実力者という設定だけあって、走る姿がやっぱり超いいんですよね。キリッとしてるんだけど、それは橘それともちょっと違う気がして。なんというか、ただ姿勢が良いだけじゃなくて、余裕というか、他の走者を斜に見ている感じがします。こういうとこ、関西人なんだなあ。ていうか関西人てやはりこういうふうに見られてんだなあと思います。まあエロいからいい!劇団EXILE青柳翔の兄さんとのラーメン愛も応援してます!!(てかラーメン愛て何w)



最後に:

この映画が、「全世代へ向けた」と書いたのは、やはり夢を追う眼差しは若者の特権ではないということを店長が示してくれたから。若いから追うのではなく、夢があるから追うんだと。そして、その途中挫折しても、雨宿りできるところがきっとあって、そこで雨宿りしてる姿もきっと誰かが見守ってくれてて、その見守ってる眼差しをもきっと見守っている眼差しがある。そうやって人は人を見守りつつ、自分も自分の道を探す雨宿りができる。


恋愛映画としての感想が全くなくて大丈夫かと自分でも思いますが、それだけ人生を応援する映画だったんだと思います。劇場を出て行くときにお客さんの一人が


「もう一回高校の部活やりたいわ」


って言ってて。本当そうだよなあ。そういう映画だったよなあ。と思いました。あの頃の輝きというか、ひたむきさや目標に向かうまっすぐな姿勢を思い出します。そしてその姿勢はきっといつになっても変わることはない。ずっと持ち続けられるはずだと。それは決してかっこ悪いことなんかじゃないんだと。


なんかに疲れた時は、この映画でも見て雨宿りしようかと思いました。そういう映画でした。 傑作。


そして主題歌を聴きながらこの記事を書いたせいでもう頭から離れねえ。寝れねええ!!!!笑





というわけで、


最後まで読んでくださってありがとうございました!!!!