映画『勝手にふるえてろ』 感想 松岡茉優劇場に酔いしれろ!!!
今年最後の新作映画になるでしょうか。
『勝手にふるえてろ』今回はこちらを見てきました。
個人的に、『桐島、部活やめるってよ』て映画がすっごい好きで、オールタイムベスト級なんですけど、その映画で初めて知ったのが松岡茉優さん!
今作で初主演ということで。非常に楽しみにしております!
『桐島〜』では、スクールカーストの頂点に立ち、イケてない同級生たちを見下して蹴落として貶めて人気者には媚び売って、、、ていうめっちゃ嫌な女の役やってる彼女。最近はそういう系統、イケてる女系統はほとんど(というか全く?)見ていなくて、割と普通か地味目な女の子の役が多いような気がします。
今回はその境地とでもいいましょうか、原作読んだことあったんですけど、ま〜イケてないイケてない。人間関係が不得意で引っ込み思案、何か思っても外側には出さず内側で腐らせてしまう変人系女子であります。
この役と松岡茉優がどう絡んでくるのか、非常に楽しみです!
松岡茉優、映画初主演は暴走ラブコメ 『勝手にふるえてろ』予告編
主題歌
感想
松岡茉優劇場!!
まず冒頭から松岡茉優演じるよしかの一人ゼリフからスタート。よしかには二人の彼氏がいて、一人は中学からずっと片思いを続けているイチ、二人目は会社の同僚で想いを寄せられているニ、なんだということがわかる。その二人の間で揺れていて、でも結局自分はイチが好きなんだ〜っていう話。を、とうとうと金髪美女に話続けるという。
でもこのよしかは妄想癖のあるこじらせ系女子で、二人の彼氏がいるっていうのも妄想で本当はイチとは今はなんの付き合いもなく脳内で付き合っている、ニとは告白されただけで付き合っている訳ではない。という。
さてさてこの話がどうなるんでしょう〜?というのが、この映画の大筋であり、前半の見どころであります。
前半では、よしかのキャラクターと恋愛の状況が語られ、あるアクシデント?をきっかけに少しずつよしかが成長したりまた退化したり、、、という様が見られました。
で、全体通して、本当に松岡茉優が出っ放し!!笑
本当に出てないシーンないんじゃないかってくらい出まくってます。というくらいには松岡茉優劇場なんですね。
じゃあその演技はどうなんだっていうと、なんて演技が上手で、なんて引き出しが多い女優さんなんだってとこですよ!本当に!
前半は基本的に幸せ顔のよしかがほとんどです。イチとの思い出を振り返ってニヤニヤし、ニから人生初の告白をされて弾けるような笑顔。イチとの飲み会をセッティングして豪快なガッツポーズ。イチとのエピソードをおじさんとかおばさんとかにぺちゃくちゃ話しまくってヘラヘラしてるし、、、
きわめつけは、決め台詞なのかと思いましたけど「やっぱりイチが好き〜〜!!!」ってめっちゃ連呼するんですよね。その笑顔ったら爆発しそうな勢いです。
あとは冒頭のシーン。金髪美女に語りかけてるところ。なぜか泣いてるんです。なぜか泣いてるのに、すごく儚い表情をしている。なんで泣いてるのか、自分にもわかっていないような顔で泣いてる。それが多分3分くらいのシーンなんですけど、観客はもうこっから松岡茉優に引き込まれていく。松岡劇場がこれから始まるのね、っていうスタンスを見せつけられているようでした。もちろん圧倒されました。
それから、後半ですよ。後半からの松岡茉優の演技は前半とはまた打って変わった表情をも見せていきました。笑って泣いて怒って狂って、そう思ったら無表情になったり、、、
特に泣きの演技がすごかったですかね。イチと話してからの泣きの演技。
中学時代友達もいなかったよしかは、イチと会いたいがためだけに同窓会を開きます(しかもSNSで他人を装って笑)。そこから驚異の行動力を発揮したよしかは、イチと急接近し、飲み会の予定まで立ててしまう。その席でイチと中学ぶりに会話までこぎつける訳ですが、、
最初は見ているこっちまで「よかったねえ☺️」て感じの微笑ましいほどに幸せそうなよしかと、相変わらずのイケメンのイチくんなんです。でも、イチのある一言をきっかけによしかの内面はズタボロに。これもまた上手い演出というか、映画ならではないい展開でしたがそれはまたのちほど。
そこまでが幸せそうだっただけに、初めは笑っているんです。が、そっからまず感情が壊されて、表情にそれが齟齬をきたして、笑ってはいるんだけど嬉しさではない感情が見える変な笑顔になって、涙が出てきて、笑顔もぐしゃぐしゃになって、最後にはもうそこに立っていられなくなる、、、、
というよしかの内面と表面が順番に崩壊していく様。恐怖すら感じました。
めっちゃ見てた『問題のあるレストラン』ていうドラマでも思ったんですが、松岡さんの泣き演技って、神経が異常をきたしたような泣きになるな〜と。笑顔でいたいのに、「あれなんでだろう涙が出てくる、あれ?あれ???」みたいな。人間がこのまま壊れてしまうんじゃないかって見ていて不安になるほどにちぐはぐな表情になっていって。
それからは負の感情もおり混ぜた若干暴走モードに入っていってこれまた引き出しが多いこと。
ニとのデートでちょっと可愛い顔を見せて、伏し目がちなきゅんとさせるような表情が来たかと思ったら、怒りのあまりに感情が飛んでいったようなものになって。会社飛び出したかとおもったら目がいっちゃってもう止められなくなっている。そして最後には、、、
特に劇中で怒りが最高潮になった時のあの顔忘れられません。目の焦点がどこにも合ってなくて、なんかどっかをボ〜っと見ていて、ボソボソっと機械みたいな声で呟いて、しかも内容も狂ってるという。怒りという感情のメーターが振り切れちゃって、ヒューズが飛んでるみたいな。
人間ここまで行けてしまうのか、という怖さ。
やはり、この女優さんの演技の幅には驚かされました。
ストーリー上、ちょっと気になるところがちらほら
じゃあよしか/松岡茉優は、素晴らしかったとして、他のところはどうなのか。
ちょっと気になったのがニのキャラクターでした。
イチとの騒動と並行して、ニとのちぐはぐな恋愛模様も語られていきます。前半部ではほとんどギャグ要素なんですが。
ニという人間は、営業畑の人間で、しかも体育会系なのかやたらと猛プッシュしてくるんですが、このプッシュぶりが激しくて激しくて。急によしかを誘い出したかと思ったら自分の体力自慢とか仕事頑張ってるぜ自慢しだして、挙句酔っ払って大失態するという。それからも懲りずに何度もよしかにアプローチをしていきます。
ていうプッシュぶりなんですが、見ていて怖い!wどんくらい怖いかっていうと、よしかのキャラを食っちゃうくらい怖い!w
念願のイチとの飲み会の時に偶然に合わせたニは、そのままよしかを尾行して、訳わかんない理由までつけて飲み会会場のマンションの中まで入ってっちゃって、エレベーターまで乗っちゃって。
ってこれ普通に不法侵入でしょ!笑 て見てて思っちゃいました。。まあそれで済むならいいんだけど、なんていうか、その局面においてはよしかが常識的な分、よしかのぶっ飛び具合が控えめに見えちゃうっていう。ぶっちゃけニの方がやばくね?っていうニの話になってしまっているような気がしてしまうという。エレベーターのところは、ニのあまりにも無理やりな性格に目を顰めてしまいました。
イチはまあ安定したイケメンなんで、役者さんもアイドルだし演技もキャラクターもしっくり。まああの北村匠海さんはああいう役しかできないんだろうな〜とも思いましたが。
あと、全体的な流れとして、もうちょいはしょれたっしょ、とか、もうちょい近道あったっしょ、的なところが気になりました。
序盤は特に、小説に出てきた表現をそのまま使っているような「語り」が多かったような気がしました。しかもその説明何回め?ってくらいよしかの恋愛模様を語られるので、ちょっと冗長かも。
さらにはストーリー展開的なところなんですけど、よしかのアクシデントからの流れが二転三転して、どこがピークなのかわからないな〜と。多分小説もこんな感じだったような気がしたので、まあ忠実っちゃ忠実なんですが。せっかく現実と向き合う覚悟を決めたよしかなのに、またイチの方に気持ちが戻って、さらにまた一波乱あって。。
もう気持ちスッキリさせられたらよかったのかも、、というところはちょっと思ってしまったところでした。
まあでもね、原作も同じような筋なんでね、これはまあいいでしょうね、、
よしかがあだ名をつけるのは、、、
よしかは劇中でたくさんのあだ名をつけます。まずは「イチ」と「ニ」ですよね。それから部長には風貌から「フレディ」、友人の彼氏を「出来杉」、隣人を「オカリナ」、、このオカリナという人の本名がなんなのかわかった時がめっちゃ面白かったですwでもこれもちょっとした伏線というね。
それからあだ名さえつかない登場人物もいる。ホームページ見たらマジで名前なしで「釣りおじさん役」とかって書いてありますね笑。みなさん結構有名だし演技派な役者さんの筈なんですけどね。なんという贅沢な使い方!
この名前のくだりは原作にはない映画オリジナルのところというのもあって、すごく印象に残りました。監督の据えているこの話のテーマみたいなのが表されているような気がして。というのも、「名前」という要素が中盤あたりすごい重要になって来るんですね。
あとはよしかが妄想癖あるっていうのはわかるんだけど、どっからどこまでが妄想なのかはっきりさせてないところも最初は気持ち悪いんだけど、重要なところで。妄想が及んでいるのは決して恋愛についてだけではないっていう事なんですね。
この映画ってラブコメっていうジャンル分けされるのかもしれないけど、男である僕にだってめっちゃわかるところあるし、何も恋愛にだけ当てはまることを言ってるんじゃないと思うんです。
よしかがあだ名をつけた人ってどういう人なのか。それは、正面から向き合おうとしていない人なんじゃないかと思います。
もっと言えば、本当はもっとちゃんと向き合いたい人。もっとちゃんと向き合えば何かが生まれるかもしれないと希望を持っている人。でもそういう人に対して自分をさらけ出して、何かを相談したり、自分の気持ちを伝えたりすることができない。だってその結果自分が傷ついたりしたら嫌だから。でもその状況を直視するのは歯がゆくて悲しくて情けないから、そこを妄想で埋めてしまおう。
これがよしかの生き方だったのではないか、とそう思いました。
しかし、イチの一件からその生き方の辛さ、もっと言えば孤独を直視させられるんですね。そこでどうよしかが変わるのか、という成長ぶりが、最後の最後に見える、名前問題が最後にどうなるのか、、、、
確かに、こういう経験って僕にもあるし、どうなんだろうみんな何かしらぶち当たったことがあることなんじゃないかって思います。ちゃんと関わりたいけど、それがもたらす弊害のリスクが大きすぎて一歩踏み出せない。もしあの時こうしていれば、とも思うけどそこは自分の想像で埋めて、、、って、僕結構したことあるかもしれないです。
小説版では、最後のよしかの選択は、「新しい愛の形を受け入れること」というものになっています。映画版では、その影は若干薄く、その代わりによしかの人間的成長の現れになっているな、と感じました。
最後に
ちょっと内容がまとまらない感じで締めてしまいますが、これは自分の中でもこの作品をどんな風にまとめたら良いのかいまいち固まりきれていないから。日を追うごとにいろんな方がこの作品を絶賛していて、自分の意見がどうしても埋もれてしまいました、、恥ずかしい話、、、
でもでも間違い無いのがこの作品は紛れもなくいい作品だったってこと。
人間生活を送っていれば、それが腐女子でもオタクでも無い人でも、こんな風に他人と直視して関係を築けないことがたくさんあると思うんです。というところに置いて、この作品は誰にでも見て欲しい作品。単館系だからって見逃しちゃいけない作品だと思います!!
是非是非松岡劇場を見ていただきたいと思います!
最後まで読んでいただいてありがとうございました!!!
追記
これ書き始めたのが12月の末だったはずなんですが、帰省とか色々あって内容に悩みつつちょこちょこ書いていたら、このタイミング(1月2日)になってしまいました。。。
感想から最後にまでには実は一週間くらいかかっております、、、
12月26日
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