『クボ 二本の弦の物語』 ネタバレあらすじ感想 ー瞬きするなら今のうちだ!!!ー

今日、ピクサーアニメーションの監督脚本家でCGアニメーションの権威であるジョンラセター氏のセクハラが原因による半年の休職というニュースが。。。
何してんだジョンラセター!!!




僕が小学生だった頃に一番好きだった映画監督でした。。。お前だけはやっちゃいかんだろう!!!子供が見てんだぞその映画!!!ちなみにセクハラは常習犯だったとか。もうやめてくださいまじで笑



というやらかしてしまったラセター氏とその会社ピクサーが作る3DCGとは対照的に、実物にこだわり一コマずつ動かしていくという、ストップモーションアニメーション。


多分こういう形式でのアニメーション映画って初めてになると思いますが、どんな映像なんだろう???


※今回は字幕版で見てみました。






作品情報


こちら公式ホームページ。

プロダクションノートとかトリビアとか見てると面白いですよ。

ちょっとした予習とかにどうぞ!



あらすじ

三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという、不思議な力を持つ少年・クボ。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父にねらわれ、クボを助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、更なる闇の刺客によって母さえも失くしてしまう。父母の仇を討つ旅に出たクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知り──。かつて母と父に何があったのか?三味線に隠された秘密とは? 祖父である〈月の帝〉と相対したとき、全ては明らかとなる──。

                    (公式ホームページより)



映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』予告編




ライカについて



1週間で平均3.31秒しか作れない驚きの映像世界 映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』メイキング映像



これ見てよまじで!すごいよこの地道オブ地道な作業!


これを21世紀にやっている会社ってなんなんだ!



調べてみると、2005年に出来たばかりの新しい会社だということがわかりました。その年に作られた、『ティム・バートンのコープスブライド』に携わり、その存在をいきなり有名にしてしまいます。


会社単独での長編アニメーション作品はこの『クボ』で四作品目。にもかかわらずすでに三回もアカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされており、今作では史上二作品目の視覚効果賞にもノミネート。本当にすごいですね、、、


そのアニメーション作品の技法ですが、『ストップモーションアニメーション』。
ストップモーションアニメーションとは、静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技術、技法。コマ撮りとも呼ばれます。


そんなことしてたら相当時間かかるんじゃないの、、?とかと思っていたら、公式ホームページに書いてありましたよ。



総制作期間 94週。
クボの表情の数 4,800万通り
使われた綿棒の総数 177,187本、、、



94週て。
94週てなんかヶ月だ?一ヶ月4週とかだから、23〜4ヶ月ってこと?てことはほぼ2年てこと!?!?!?



この数字だけでいかに制作が大変かわかりますね、、、、
心して見ないと!


キャスト




吹き替えには豪華キャストが集結しています!



アート・パーキンソン クボ


本編では可愛い子供の声を演じている彼ですが、現在16歳。もっと子役とかのこなのかと思っていたら意外と大人なのね。





シャーリーズ・セロン サル


キャリア初期には「セクシーなブロンド役」で知名度をあげ、最近では様々なジャンルの映画に出演。演技の幅を広げています。人気実力ともにハリウッドの最高峰というところでしょうか。最近ではワイスピの最新作で天才ハッカーのサイファーという、そこだけ聞いたらめっちゃ頭悪そうな設定の役を見事に演じていました。ムッチャ手強そうだった〜。


そのシャーリーズ・セロンが今度はサル役に挑戦て!笑
ちょっと楽しみですね。





マシュー・マコノヒー クワガタ


出ました!!『インターステラー』も、ちょい役だけど『ウルフ・オブ・ウォールストリート』での変人な演技も好きなんだよな〜。この人が出てる映画は当たるって気がしますマシュー・マコノヒー!




ルーニー・マーラ 闇の姉妹


ミステリアスな顔してますねw
なんとなくこの闇の姉妹とも顔が似ているような似ていないような、、、





ジョージ・タケイ 村人


日系アメリカ人なんだそうで。『スタートレック』での「ヒカル・スー」役が有名なんだとか。この村人っていう役でHPに紹介されているっていうことからして、日本へのリスペクトを感じます。




レイフ・ファインズ 月の帝


聞いたことないな〜なんて思っていたらなんと!ハリポタシリーズでヴォルデモートを演じていたお方!!なんか今回の「月の帝」役もちょっとヴォルデモートにビジュアル似てるような気もします!

  


日本語吹き替えも豪華声優俳優が出演しています!

みてからこの二人見るとちょっと違和感はあるけどもでも吹き替えも見てみたいな!笑





はじめ予告編見たときこれ日本の映画だと思いましたよ笑
その撮影方法も地道に一個ずつ作っていく様とか、何よりそのモチーフ、世界観が!


ストップモーションアニメとか、21世紀の今でもまだあるんですね!そのこと自体にすでにびっくり!


3DCG全盛のこの時代に、ストップモーションはどんな世界を見せてくれるのでしょうか???その世界観と共に、すげえ楽しみです!


それでは感想どうぞ!!!




























「瞬きするなら今のうち」な超絶精密アニメーション!ワクワクドキドキの詰まった103分でした!


まばたき厳禁のストップモーションアニメ!


まずは何と言ってもライカのアニメーション。今作の最も注目されているところ。コマ撮りアニメなのにありえないほど滑らかな動き!こういうのストップモーションアニメっていうんですね〜。初めて知りました。


最初のシーンから持ってかれますね。でっかい波とその中で危機一髪な一艘の舟。この対照的な構図がうおおおって唸らせる画力を持っている。


ほんで持ってすっげえ細かいんですよ動きが。滑らかだし、「そんなところまでこだわってるのね」っていう精密さ。例えば、風にたなびく髪の毛。帆の滑らかな動き。躍動感ある走るクボと登場人物たち。


特にびっくりなのはクボをはじめとする登場人物の表情の豊かさ。まぶたからほっぺたからもういろんなところの、表情筋がちょっとずつ繊細に動くんです。これがすごい。本当に演技をしているかのような動き。まるで3Dアニメーションみたいなんだけど、人形として一個一個作ってるからなのか、愛嬌があるというか、実体があるから余計に生きているような感じがします。


もちろん途中でCGも使われてるんだけど、それもどっからどこまでがCGなのかわからないから、ついつい探しちゃうんですよね、これCGかな?いやストップモーションかな?て。でももう本当にわかんなくて、最終的に話の筋が追えなくなりそうだったので、序盤でやめました。純粋にこのすごいアニメーションを楽しもうと笑。


その実最後にはどこがストップモーションでどこがCGかなんてちっとも考えずに物語に没入してました笑。それはそれでもったいないのかも、、、


これ作るのにすんげえ手間かかってるんだろうな〜。
なんかの記事で読んだけど、3秒作るのに1週間かけたりするらしいですよ。てことは2時間の映画作るのにどれだけの人と時間かかってんだろう、、、?しかも作業細かいんだろうな〜、、、


イッチバン最初のセリフで、「瞬きするなら今のうちだ」っていうセリフがあるんだけど、本当にその通りで、瞬きするとその細かい動きが拾えなくなっちゃうっていう。


これは見ないと損です。



センスオブワンダーーー!なストーリー!


アニメーションがすごいのはわかったけど肝心の話はどうなの?ってことですけど、これがまた面白いです!


三味線弾きのクボ(こういうくくりでいいのかしら?)は、三味線を引くことで折り紙を折れたり、その折り紙を動かしたりできる魔術を持っています。それは母から譲り受けたものらしく(ていうことだと思う。)、同じくその力を持つ叔母たち「月の帝」から狙われてしまいます。


母は力の限りを使ってクボを逃し、クボはどこか知らない彼方へ飛ばされてしまう。そこで、追ってくる「月の帝」の一族から身を守るため、母から伝わった魔法の「3つの武器」を探す旅へ出ます。


旅の途中、喋るサルやカブトムシの侍「クワガタ」が仲間に加わり、クボの出生が少しずつ明らかになっていく、、、



というコテコテRPGみたいなストーリーなのに、世界観を日本のモチーフにすることで全く新しいファンタジーに仕上げている。


この日本モチーフも、ハリウッド映画でよくある中国と日本のごっちゃみたいな感じじゃなくて、ちゃんと時代劇してるんですよね。盆踊りの曲とか聞いたことある曲出てくるし、仏様とか、侍の鎧とか、屏風に書かれた浮世絵とか。ちゃんと日本のモチーフがしっかりしているな、という印象ですごく入って行きやすかった。


「King of moon」を「月の帝」、「robe」を「着物」と訳してるなど日本のあれ英語だとそういうんだ〜みたいな勉強にもなるかも。ならないかも。


それから日本モチーフだけじゃなくて、この作品には子供も大人もワクワクドキドキがもう所狭しと敷き詰めてあるんです!これ、『ガーディアンズオブギャラクシー』の批評の時に宇多丸さんていう人がラジオで言ってた言葉を使えば、


センスオブワンダーーー!


てことです!もう思わずワクワクしちゃうような演出。興奮が止まらなくなるような動き、キャラクター。前に乗り出してスクリーンを見たくなっちゃうようなあの感じ。これをセンスオブワンダーーーー、という言葉で以降表そうと思います。



まず最初からでしょ。冒頭のシーン。


さっきも言ったけど、真っ暗な映像の中でクボの声だけが聞こえてくる。


「瞬きするなら今のうちだ。、、、、」


ここで揺れるでかい影。よくみると波だ。そこに一艘の小舟。向こうからまたでかい波が小舟を飲み込もうとしている。それを見た小舟に乗った女。三味線を出してひと引きすると、魔法がかかって波が真っ二つに!


センスオブワンダーーーー!


これでしょ。これだよ、最初っから飛ばしてくるんだよ。もうゾクゾクしちゃいますよね。伝わっているのだろうか、、、?笑


ちなみにこの「瞬きするなら〜」っていうセリフが確か全部で3回出てくるんだけど、最後のこのセリフはもうかっこよすぎてこの映画のクボに関するハイライト。クボの決め台詞化しているんだけど、最後の一回の時のクボの表情、見てください。「覚悟しろよ!!!」っていう気迫が伝わってきます。



また「3つの武器」を守っている魔物や、叔母の「闇の姉妹」、ラスボスの「月の帝」ら敵キャラがすげえカッコよくて!


まずはあれでしょ、でっかい骸骨!


初めは骸骨の手のひらだけ見えてて、それに刀が刺さっている。おおこれが探していたやつか!とおもったらそれはダミー。じゃあ本物どこだよってなったところで手のひらが動き出して、その先を見てみるとピカピカ光る二つの目玉が!


グオオっていう音立ててクボの10倍くらいあるようなでっかい骸骨が動き出す!


センスオブワンダーーーー!!!


はい出ました。でっかい骸骨とか子供超喜んじゃうよ。でっかいんだもん。それだけで十分だよ。


それから真っ白い顔した「闇の姉妹」の二人とか、ラスボス「月の帝」とか。クールでカッコよくていかにも「魔法使いますよ」みたいな顔してるミステリアスなあたり「センスオブワンダーーーー!」です。



それから、クボが三味線弾くと魔法で折り紙ができてその折り紙が動き出すんだけど、それが可愛くて面白くて。クボはよく「ハンゾウ」っていう侍の話を母から聞かされてその話を街のみんなに聞かせるんですけど、そこで三味線を使ってありがみを動かして村の人々を驚かせる。このハンゾウがクボたちの旅にも登場して大事な役割をするんですけど、これが可愛くて。


ちっちゃいんだけど侍だからすげえ堂々としてる。でもちょこまかちょこまか動くからその一生懸命さがすごい可愛らしいんです。


またかわいいっていうのは他のキャラクターも同様で。


特に言っておかないといけないのはサル。


すごいキレキャラで、ツンケンしててぶっきらぼうなんだけど、クボのちょっとしたイタズラとかに対する反応とかがすごいかわいい。ぶすっとした顔してたかと思ったら目ん玉ひん剥いてキョトンとしたり、首元を掻いてなんかきのみ出したり。動きとか表情とかがコロコロ変わって、見ていて一番癒されるキャラクターでした。


このサルがツッコミ役だとしたらボケがクワガタですね。このクワガタもいいキャラしてました笑。


体はめっちゃゴツくて力持ちなんだけど、実戦になるとてんで使えないというこのヘタレキャラ。水の中にもぐって敵を倒しに言ったはずなのに、魚とって戻ってきたり、すんげえ弓矢の技出した後に「これ初めてできた」みたいないらん一言を付け足したり。でかいけどおとぼけって癒しだなって思いました。


この二人の掛け合いがしっくりきてメインストーリーとのいい息継ぎになっていると思います。この二人が一体そういう関係なのかっていうところが終盤超重要になってくるんですが、まあそこは深読みしたり頭使って考えたりしないほうが楽しめるかも。



ちゃんと泣かすライカ、さすが。

(↑韻踏んでます)


ていうセンスオブワンダーーーー!で、表情豊かなキャラクターの話ですが、それだけで終わらないのがすごいところ。最後にちゃんと泣かせてきますから。


公式ホームページに載っていたライカのCEO兼今回の監督の、「技術は当たり前、ストーリーこそが命」という言葉がストンと落ちてきます。ただ映像がすごいだけじゃない。ただ楽しいだけじゃない。そこからがライカの本領なんだと。確かに頷けます。


この物語の主題は何と言っても「二本の弦の物語」ですから。なんで三味線なのに「二本の弦」なんでしょう。これが最大の鍵ですね。


でもくれぐれもなんか変な予想とか落ちについての予想を立てて考えながら見ないほうが面白いとは思います。


最終的に「月の帝」との直接対決をすることになる一行。ラスボスの出現がそこまで迫ってきています!


というところで、「3つの武器」と魔法の三味線を頼りに立ち向かうクボ。その時、クボが何を持ってして立ち向かうのか。これが!!!泣かせるんだ!!!


生まれた時から「月の帝」に父を奪われ母と二人で過ごしてきたクボ。しかもお母さんは夜にならないと何も喋らないっていう精神状態にいます。この時の無表情、という表情もきっと緻密な作業の賜物なんでしょう。本当に何も感じないっていうことだけが伝わってくる感じ。


そんなクボですが、サルとクワガタとの三人での旅に、温かみを覚えていきます。



「月の帝」はなんでだっけか忘れちゃったけど、不老不死の体を手にしていて、お前の母親も元々はこちら側の人間だったのに、それを捨てたんだ、お前の母親はバカだなあみたいなことをつらつらいう。


それに対してクボは、反撃します。


永遠の命なんかじゃない。始まりがあって必ず終わりがある。終わった物語は、誰かが受け継いで語り継いでいくんだ、と。
ごめんなさいこの辺のくだりセリフすっ飛びました。でも確かこんなこと言ってましたごめんなさい。



てこれってストーリーテラーのであるライカの事でもあるな〜と思いました。昔あった何かの物語や、伝えたいことが、誰かに語られることで広い世界に伝わっていく。これによって、終わりのある物語に「続き」ができるのかもな〜と。


実際、母から伝えられた父の物語を踏襲してクボの冒険は起こります。母が伝えた父の姿を、クボ自身が追っていく。誰かの物語が、誰かの人生を動かしていくって、普通の観客にも言えることだし、映画という物語を作っているライカにも言えることだな、と思います。


そしてこの映画で、その物語と物語をつなぐのが「愛」だ、と。この愛という要素がこの物語では重要な役割をなしていくんですね〜。



最後に「月の帝」に対して村人たちがすることがとても印象的です。


普通ファンタジーでそういう終わり方ってあるか!?と。
見た方ならわかると思いますけど、クボをハリーポッターに、「月の帝」をヴォルデモートに置き換えると、とてもそんなことが起こらないということがわかります。あれはあれでムッチャ面白いけど。


それとそれと、日本で言うところの灯籠流し、みたいな行事がすっげえ大事なこの話のファクターになってますね。あるいはお盆、みたいなことか。海外にもあるんだろうかお盆とか。


日本人の風習を、すごく素敵な感じに海外ナイズ(?)してくれたと思います。日本人としてなんか嬉しくなった。


ご先祖様も、こういう気持ちでお盆やってたのかな〜それってすごく素敵なことだな〜と思いました。泣けます。最後。



最後に


ということで、超絶繊細なストップモーションアニメと、センスオブワンダーーー!なストーリー、それから最後に泣かせてくるメッセージ性。この三重奏がきます!


とても楽しく、とても切なく、とても感動的な103分です!
日本人なら尚更楽しめるし、グッとくるはず!


普通だったら子供向けんでしょうが、日本でやっているからこそ、老若男女楽しめるものなのではないでしょうか。実際隣もその隣も一人で見にきてたおじさんでしたしw


大人なら自分のオヤジとか息子のことを思って泣けるはず!そのメッセージ性にびっくりです!






というわけで、セクハラも気にせず、あったかい気持ちになれる作品だと思います!見てください!お願いします!


以上です!最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!